慣れない土地で地震に遭遇 状況別(移動中・滞在先)安全確保ガイド
多拠点での移動や滞在は、日常とは異なる環境での体験です。その中で地震のような自然災害に遭遇した場合、慣れない土地であるために、どのように行動すれば良いか戸惑うことがあるかもしれません。特に小さなお子様と一緒にいる場合は、家族の安全を最優先に、落ち着いて適切な行動をとることが重要です。
このガイドでは、多拠点移動中や滞在中に地震が発生した場合の、場所に応じた具体的な安全確保の行動について説明します。
地震発生時の基本的な心構え
地震が発生したら、まず身の安全を確保することが最も重要です。強い揺れを感じた際は、以下の基本的な行動を思い出してください。
- まず、姿勢を低くする: 倒れやすいものから離れ、落下物に注意しながらしゃがみ込みます。
- 頭を守る: クッションやカバンなどで頭を覆います。
- 揺れが収まるまで動かない: 危険な場所でない限り、揺れが収まるまでその場で待機します。
パニックにならず、周囲の状況を冷静に判断しようと努めることが、安全な行動につながります。
場所別の具体的な安全確保行動
地震発生時にあなたがどこにいるかによって、取るべき行動は異なります。多拠点生活では様々な場所に移動するため、それぞれの状況を想定しておくことが役立ちます。
1. 滞在先の建物内
- 自宅や宿泊施設の場合:
- テーブルや机の下にもぐり、頭や体を守ります。
- 窓ガラスや照明器具、家具など、倒れたり落ちたりする危険があるものから離れます。
- ドアを開けて避難経路を確保することも検討します(ただし、無理はせず、揺れが収まってからでも遅くありません)。
- 高層階にいる場合は、無理に外に出ようとせず、室内の安全な場所で揺れが収まるのを待ちます。
- ショッピングモールや商業施設の場合:
- 展示物や商品棚から離れ、丈夫な柱の近くなどに身を寄せます。
- 施設の係員や従業員の指示に必ず従います。
- エレベーターは使用せず、非常階段の場所を確認しておきます。
2. 移動中の列車・バス
- 急ブレーキがかかることがありますので、つり革や手すりにしっかり掴まるか、着席して姿勢を低くします。
- 揺れが収まるまでは、勝手に席を立ったり、非常停止ボタンを押したりしないようにします(乗務員の指示がある場合を除く)。
- 乗務員からの情報伝達に注意し、指示に従って行動します。停車後、乗務員の指示なく車外に出ると危険な場合があります。
3. 移動中の自動車
- 急ハンドル、急ブレーキを避け、周囲の安全を確認しながら徐々に速度を落とします。
- 道路の左側に停車し、ハザードランプを点灯させます。
- エンジンは停止し、揺れが収まるまで車内で待機します。避難が必要になった場合に備え、キーはつけたままにするか、すぐに持ち出せる場所に置いておきます。ドアはロックしないようにします。
- 津波警報が出ている沿岸部や、山間部の崖崩れ注意区域にいる場合は、車を置いて高台などに避難することを最優先に検討します(避難時はキーをつけたままとし、窓を閉めておきます)。
4. 屋外
- 看板や窓ガラス、外壁材など、落下する危険のあるものから離れます。
- ブロック塀や自動販売機、電柱など、倒れる危険のあるものから離れ、建物からできるだけ離れた開けた場所に移動します。
- 頭上からの落下物に注意しながら行動します。
5. 地下街・地下鉄
- 地下空間は比較的安全とされることが多いですが、停電やパニック発生のリスクがあります。
- 施設の係員や鉄道会社の指示に従って行動します。
- 慌てて地上に出ようとすると、階段などで将棋倒しになる危険があります。冷静に行動することが重要です。
子どもと一緒の場合の注意点
- まず、お子様に優しく声をかけ、安心させることが大切です。「大丈夫だよ」「ママ(パパ)と一緒にいようね」など、落ち着いたトーンで話しかけます。
- 可能であれば、お子様と一緒に安全な場所に移動したり、一緒にテーブルの下にもぐったりします。
- 移動する際は、お子様の手をしっかり握り、はぐれないようにします。
- 周囲の大人と協力できる状況であれば、助け合うことも有効です。
揺れが収まった後の行動
- 情報の確認: テレビ、ラジオ(ワンセグを含む)、スマートフォンの防災アプリ、インターネットなどで正確な情報を収集します。デマに惑わされないように注意が必要です。
- 周囲の安全確認: 火災の発生、ガス漏れの臭い、建物の損壊、道路の亀裂などがないか確認します。
- 家族の安否確認: 家族と事前に決めておいた連絡方法(災害用伝言ダイヤル171、災害用伝言板、SNSなど)で安否を確認します。集合場所についても事前に話し合っておくことが役立ちます。
- 避難の判断: 自宅や滞在場所が安全であれば、無理に避難する必要はありません。しかし、建物が大きく損傷している場合や、火災、津波などの危険が迫っている場合は、自治体が指定する避難場所へ避難します。避難する際は、ブレーカーを切り、ガスの元栓を閉めます。
事前の準備と確認
慣れない土地での緊急時に備え、移動や滞在の前に以下の点を確認しておくことをお勧めします。
- 滞在先の自治体のハザードマップを確認し、地震による揺れの大きさや液状化、津波、土砂災害などのリスクを把握します。
- 最寄りの避難場所や避難経路を確認しておきます。
- 家族との緊急連絡方法や集合場所について、改めて確認し共有しておきます。
- 常に持ち歩くカバンに、モバイルバッテリー、現金、常備薬、ホイッスルなどを入れておくことを検討します。
まとめ
多拠点生活中に地震に遭遇することは、大きな不安を伴う出来事です。しかし、事前に知識を持ち、それぞれの状況に応じた基本的な行動を理解しておくことで、落ち着いて対応できる可能性が高まります。
この記事でご紹介した情報が、皆さまが慣れない土地でも安心して過ごすための一助となれば幸いです。緊急時には、ご自身の、そして大切なご家族の安全を最優先に行動してください。