多拠点滞在先での子どもの安全を守る防犯対策と不審者対応
多拠点滞在中の子どもの安全を考える 防犯対策の重要性
多拠点生活や長期滞在では、慣れない土地での滞在が中心となります。見知らぬ場所での生活は新鮮である一方で、自宅周辺では意識していなかった防犯対策について、改めて考える必要があるかもしれません。特に小さなお子様連れの場合、地域の特性や危険な場所に関する情報が少ない中で、どのように子どもの安全を守るかという点は、親御様にとって大きな不安の一つとなり得ます。
この章では、多拠点滞在中に子どもを犯罪や不審者から守るための基本的な考え方と具体的な対策についてご説明します。事前準備と知識を身につけることで、いざという時に落ち着いて対応できるようになります。
事前に確認・準備しておくべきこと
滞在先の安全性を高めるために、移動前や到着後に以下の点を確認・準備されることを推奨します。
- 滞在先の地域の情報収集:
- 滞在予定の地域について、過去の不審者出没情報や子どもの被害事例がないか、インターネット検索や地域のニュース、自治体のウェブサイトなどを確認します。
- 地域の警察署のウェブサイトで防犯情報が公開されている場合もありますので、参照されることをお勧めします。
- 滞在施設の防犯対策:
- 宿泊施設や賃貸物件の場合、ドアや窓の施錠がしっかりできるか、オートロックや防犯カメラなどの設備があるかを確認します。
- 非常口の位置や避難経路、警備体制についても把握しておくと安心です。
- 防犯グッズの準備:
- 子ども用の防犯ブザーを準備し、使い方を事前に教えておきます。大人が使用できる防犯ブザーや催涙スプレーなども、必要に応じて検討します。
- 人通りの少ない場所を歩く可能性があれば、携帯電話やスマートフォンの位置情報共有機能を家族間で設定しておくと良いでしょう。
- 家族でのルール確認:
- 子どもが一人で外出する可能性のある場合、行き先や帰宅時間、立ち寄る場所などについて具体的なルールを決め、家族間で共有します。
- 親に無断で他の人の車に乗らない、知らない人についていかないなど、基本的な安全ルールを繰り返し確認します。
子どもへの不審者対応の教え方
「いかのおすし」は、子どもが不審者から身を守るための合い言葉として広く知られています。多拠点滞在中も、場所が変わっても基本的な行動は変わらないことを教えることが重要です。
- いか: 行かない 知らない人について「行かない」。
- の: 乗らない 知らない人の車に「乗らない」。
- お: 大声で叫ぶ 危ないときは「大声で叫ぶ」。
- す: すぐに逃げる 近くのお店や家、交番へ「すぐに逃げる」。
- し: 知らせる 知っている人に「知らせる」。何があったか、誰に会ったかなどを、すぐに家族や学校、警察に「知らせる」。
これらの言葉の意味を、具体的な場面を想定しながら子どもと一緒に確認します。例えば、「もし、〇〇ちゃんが一人で道を歩いている時に、知らない人が『お菓子をあげるから、一緒に来ない?』と声をかけてきたらどうする?」など、ロールプレイング形式で練習すると、子どもはより具体的にイメージしやすくなります。
見慣れない土地では、助けを求められる場所(コンビニエンスストア、交番、地域の子ども110番の家など)を一緒に確認しておくことも有効です。
万が一、不審者に遭遇した場合の対応
冷静な判断と迅速な行動が求められます。
- 安全確保: まずは子どもを安全な場所に誘導します。人通りの多い場所やお店、公共施設などに逃げ込みます。
- 警察への通報: 状況が許せば、すぐに110番通報します。
- 落ち着いて、現在の場所(地名や目印となる建物など)
- 事案の概要(何が起きたか、いつ起きたか)
- 不審者の特徴(性別、年齢、服装、所持品、車両など)
- 子どもの状況(無事か、怪我はないか) などを、できるだけ正確に伝えます。
- 緊急を要しない場合でも、警察相談専用電話 #9110 に相談することも可能です。
- 周囲への助けを求める: 大声を出して周囲の人に助けを求めます。「助けてください」「不審者です」など、具体的に叫びます。
- その後の対応: 警察の指示に従います。目撃した情報は、時間が経つと曖昧になるため、メモに残しておくと良いでしょう。子どもにも、何が起きたか、誰に会ったかなどを話してもらい、情報を整理します。
家族で共有し、意識を高める
多拠点生活においては、家族それぞれが異なる場所で活動する時間があるかもしれません。そのため、家族間で常に連絡を取り合える体制を整えることが非常に重要です。
- 外出する際には、誰が、いつ、どこへ行くのかを家族間で共有する習慣をつけます。
- 定期的に連絡を取り合う時間を決めたり、位置情報共有アプリを活用したりするなど、安否確認の方法を決めておきます。
- 子どもにも、万が一何かあった場合に、誰に、どのように連絡すれば良いかを具体的に教えます。
多拠点滞在中の防犯対策は、自宅での対策に加えて、慣れない環境への注意が必要です。この情報が、皆様が安心して滞在を続けられるための一助となれば幸いです。